2015年2月26日

◆ 若手整数論研究者を招き講演会を開催しました【印刷用PDF】

日時: 2015年 2月 26日(木)  15:00~17:45
場所: 南4号館2階205号室(キャンパスマップ

  • 15:00~16:00:
    講演者: 筒石 奈央 氏 (津田塾大学)
    題 目: 二次体上の至る所 good reduction をもつ楕円曲線の決定について
    概 要: 代数体 K 上至る所 good reduction をもつ楕円曲線とは,K の整数環の全ての素イデアルで good reduction をもつ K 上定義される楕円曲線のことである. 定義体が有理数体の場合,そのような楕円曲線は存在しないことが古くから知られている. 他の代数体に対しては,二次体を中心に木田雅成氏,加川貴章氏等によって多くの結果がもたらされており,特に判別式の絶対値が小さい二次体上至る所 good reduction をもつ楕円曲線の決定が試みられてきた. この講演では,まずそのような二次体に対してこれまでに得られている結果をまとめる. そして,至る所 good reduction をもつ楕円曲線を決定する一つの計算方法を紹介し,その方法を用いて得られる判別式の絶対値が小さい二次体に対する計算結果を報告する予定である.

 

  • 16:15~17:45:
    講演者: 小笠原 健 氏 (小山高専)
    題 目: 重さ1のモジュラー形式の空間の次元について
    概 要: Deligne-Serreの定理により,重さ1のモジュラー形式には,有理数体の絶対ガロア群のoddな2次元複素線形表現が対応することが知られている. そのため,代数的整数論において重要な位置づけにあると考えられるが,重さ1の空間に対しては明示的な次元公式が知られておらず,具体的な計算が困難な対象である. 本講演では,重さ1のモジュラー形式に関する基本事項を紹介した後,Serreの考察を参考にして,重さ1の空間の次元を計算する試みについて述べる.